被災地でも人々の通信を途絶えさせない技術を。LTE D2D

2020年を見据えた防災・減災対策の次世代技術として、ドコモが国際標準化検討に取組んでいるのが「LTE D2D」だ。「LTE D2D」とは、基地局が災害やテロ等で機能しなくなった場合でも、端末同士で直接通信ができるという技術。端末が圏外にあっても通信が可能になるため、警察や消防による災害救助の場面など、通信が途絶えがちな被災地での活用が見込まれる次世代技術である。今回は、「LTE D2D」が実現する災害時の安心・安全の未来について、NTTドコモ 5G推進室 主任研究員の永田聡に話を聞いた。

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永田 聡(ながた・さとし)
NTTドコモ 5G推進室
主任研究員

3GPP TSG-RAN WG1議長

東京工業大学大学院理工学研究科博士前期過程修了後、2003年NTTドコモ入社。 LTE/LTE-Advanced/5Gの研究開発、標準化に従事。2011年より3GPP国際標準化プロジェクト最大グループ(TSG-RAN WG1)副議長、2013年より同グループ議長(3GPP内で議長の役職を務めている日本人は現在1人)を務める。
「日経テクノロジーオンライン」で議長の実況中継公開中。

災害が多い日本だからこそ、通信にできることを世界に先駆け取組んでいく

— ドコモではさまざまな災害・減災の取組みが行われています。
その中で、この「LTE D2D」という技術は、どのような位置づけにあるのでしょうか?

ドコモは地震や台風などの災害に見舞われやすいという日本の特質を考慮した災害対策・減災に取組んでいます。その中で、LTEを使った次世代技術を検討している理由としては、まず2001年9月11日以降の世界同時多発テロをきっかけに世界的に基地局の故障などに左右されない非常時用の無線の必要性が求められたことが挙げられます。また日本においても総務省の「電波政策ビジョン懇談会」の中で「LTE方式の導入による共同利用型の防災無線ネットワークの構築を促進」する方向性が示されたからです。

「LTE D2D」がもたらす、災害時の安心・安全の未来

— なぜ、端末が圏外にあってもつながるのでしょうか?
改めて、具体的な仕組みを詳しく教えてください。

「LTE D2D」は、端末同士が直接お互いを見つけ合うシステムになっています。ある端末が周りの端末に対して「通信したい」というようなメッセージを送り、それを受け取った端末が「通信可能」というメッセージを返して、通信が確立されるようなイメージですね。だから、圏外であっても半径数百m〜1kmのエリアにいる人と通信ができるんです。
一方で、近距離でなければ機能しないかというとそうでもなく、近くに機能している基地局がある場合はそこを介して、遠くにある端末とも通信できます。