通信は、目に見えない。だが、たしかに存在し、私たちの生活を変えてくれる。空気のようになくてはならない存在だ。

通信の進歩は、産業構造の変化、新たなサービスの登場、コミュニケーションやエンタテインメントの進化などをもたらし、私たちの生活を確実に変えてきた。

「5G」という次世代の通信技術が、私たちの生活を根本から変える日はすぐそこまで迫ってきている。

1000を超えるパートナーたちと5Gの到来を推し進める

「5G」ネットワークは、4G LTEネットワークの数十倍の速さで通信できる。

高速・大容量、低遅延、多数端末接続を可能とする次世代の通信技術に関する多数の要素技術の検討において、ドコモは標準化活動を主導し、他のオペレータやベンダと連携して5G全体の標準化推進に貢献してきた。

LTEや5Gの標準化を検討する3GPPにおいては、ドコモは複数のグループで議長および副議長を担当。その他にも、世界で初めて時速300kmの超高速移動環境で5G無線通信実験に成功するなどの結果を残している。

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ドコモは、他のプレイヤーとの連携も活発だ。幅広いパートナーと共に5Gの新たな利用シーン創出に向けて取組む「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」を2018年1月に発表。

2018年4月から、パートナーに対して5Gの技術検証環境を無償で提供するという同プログラムは、2018年1月9日の開始当時はパートナー数が453社だった。わずか、4か月後の5月25日時点ではパートナー数が1,398社に急増。

世界の通信環境を大きく変える技術の実用化や社会への浸透は一社で完結することではない。多様な企業と協業することで、ドコモは5Gを活用したサービスを生み出すための土壌を急速に整えてきている。

多様なパートナーとの協業の事例がお披露目

2018年5月に開催された、無線通信技術の研究者・開発者を中心とした約50,000名が集まる国内最大級の専門イベント「ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)」でも、5Gの盛り上がりは明らかだった。

5Gを活用した新たなサービスなどのユースケースが展示されるWTP内の特設パビリオン「5G Tokyo Bay Summit® 2018」への出展パートナー数も2017年度の25社に対して、2018年度は40社で1.6倍に増加。5Gの実用化に向かうエネルギーが、この空間に集まった。

AIと5Gを組み合わせたカートが変える街の風景 

パビリオンで存在感を発揮していたのは、ソニーとドコモによる「ニューコンセプトカート」だ。

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両社は、ソニーが開発したニューコンセプトカートを活用し、カートに搭載された4Kディスプレイ対応デジタルサイネージシステムへ高精細映像を5Gでリアルタイムに伝送する共同実験を行ってきた。

カートの前後左右には、超高感度の4Kカメラが搭載され、360度の高精細映像の撮影を可能にしている。内部にはモニターも搭載されており、カメラ越しの映像を見ながら乗車できる。乗車して街やリゾート施設、テーマパークなどを走っていると、超高感度のカメラが撮影した素晴らしい景色を映像で楽しめる。

(内部からは前後左右の様子がわかる)

(内部からは前後左右の様子がわかる)

カート外部のディスプレイには、5Gを活用して高解像度の広告の配信を行うことも想定されている。5Gであれば、高解像度の映像をカートに伝送でき、走行しながら映像を切り替えていける。

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将来的には、カートを遠隔で操作しながら、AI技術を組み合わせることでカメラがカートの外にいる人の性別や年齢といった属性を検知し、その人に合った広告を配信することも想定しているという。

通行人をリアルタイムで分析し、合わせた広告を即座に5Gで伝送し、ディスプレイに映し出す。そんな、コンセプトカートが街を走っていれば、日常の風景も大きく変わる。

5Gモデムが内蔵された世界初のタブレット 

会場の一部では、日本と韓国を5Gを介して相互につないで中継が行われていた。驚かされたのは、中継のデモ用に設置されていたタブレットのサイズだ。

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これまでスマートフォンやタブレットから5Gに接続するためには、いくつかの機材をアドオンする必要があった。今回、デモ用に使われていたタブレットには、それがない。

タブレットには、5Gに接続するためのモデムが内蔵。市販のタブレットと比較するとまだサイズは大きいものの、5Gモデムが内蔵されたタブレットは世界初だという。

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タブレットの開発も着実に進んでおり、2019年、2020年にはさらに小型が進んでいると考えられる。そうすれば、ユーザーは手元の端末から5Gに接続できるようになる。

いつでもユーザーは伝送された8K映像を視聴することもでき、どこからでも臨場感のある状態でスポーツなどエンタテインメントを楽しむこともできるだろう。

ARでリアルタイムに拡張されるスポーツ観戦体験 

エンタテインメント体験をどうアップデートさせるかは、2020年に向けてさまざまな実践が重ねられている。「Diorama Stadium 2018」のブースでは、ARを使ったスポーツ観戦のあり方に触れられた。

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一見、テーブルの上には何もないように見える。タブレットを手に持ち、テーブルを見てみるとレーシングの様子を伝える画面が浮かび上がった。観戦に必要な画面は複数用意されており、表示データも充実。ユーザーは、全体の様子や現在の順位、ドライバーの視点など、レースを楽しむために必要な情報を得られる。

センシングによって収集可能なデータを充実させられれば、ユーザーが試合を楽しむために必要な情報も充実させられる。たとえば、スポーツ選手がNTTの開発する「hitoe」を着ていれば、バイタルデータを取得し、画面上に選手のコンディションをビジュアライズできる。

選手の精神・身体のコンディションを見ながら、試合を観戦する体験は従来の観戦体験よりも手に汗握るものとなるだろう。

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「Diorama Stadium」が初めて披露された「5G Tokyo Bay Summit® 2017」では、体験者はヘッドマウントディスプレイを被り、大型のジオラマを囲んで視聴していたが、今年はリビングを模した部屋の中でソファーに座りながらタブレット越しの視聴体験が可能となっており、空間の制約が小さくなった。さまざまな場所でユーザーが新たなスポーツ観戦体験を楽しみやすいように進化を遂げている。

将来は、リアルタイムにARで新しいスポーツ観戦を届けたいというのが、「Diorama Stadium 2018」の狙いだ。 ARを読み込むためのマーカーをどう生成するかという課題はある。だが、試合中に得られるデータも充実し、リアルタイムに5Gで伝送されるデータが、ARとしてユーザーの手元で視覚化される日がくるかもしれない。

遠隔でアバターロボットを操作する「テレイグジスタンス」が実現する日も迫る 

5Gの実用化が期待されるのは、エンタテインメントばかりではない。低遅延の特徴等を活かして、遠隔地から機械を操作するためのインフラとしても期待が集まっている。

「5G Tokyo Bay summit® 2018」のブースには、人の身体の動きに合わせて動くアバターロボットが通りゆく人の注目を集めた。

(握手やお辞儀、バンザイなど、人に近い動きを再現)

(握手やお辞儀、バンザイなど、人に近い動きを再現)

5Gを用いれば遠隔地に置いたアバターロボットの操作も可能になるだろう。アバターロボットに取り付けられたカメラから伝送された高解像度の映像を操作者が遅延することなく見れたり、アバターロボットのハンドに取り付けられた触覚センサーからのフィードバックを低遅延で体感できるようになれば、スムーズな操作が可能になる。

そうすれば、危険なエリアなどでの作業も遠隔によるアバターロボット操作で、人に危険が及ぶことはなくなる。

多種多様な業界で実用化が期待される5G

「5G Tokyo Bay summit® 2018」の出展パートナー数は前年度の1.6倍に増加し、「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」のパートナー数は1,398社へと成長していることもあり、パビリオンには5Gが多様な業種にもたらす可能性を伝えるブースが出展されていた。

農業や建設、音楽などさまざまな領域において、5Gの取組みは進行している。多数のパートナーたちと協業することで、実用化に向けて5Gは加速度的に進歩していくだろう。

Photos : Tadayuki Uemura
Text:Junya Mori