テクノロジーの進歩によって、スポーツの楽しみ方も変わる。より深く、より広く、より多様な楽しみ方が可能になる。

2017年12月24日に開催されたジャパンラグビー トップリーグの試合「NEC グリーンロケッツ vs NTTドコモ レッドハリケーンズ戦」において、NTTドコモが提供するテクノロジーを活用して観戦体験を拡張することをめざした実証実験が行われた。

5G、AR、VR技術を組み合わせて観戦体験の拡張をめざす

プレイする、選手を支える、観戦する。スポーツを楽しむ方法は様々あるが、すべての関わり方においてICTが関与する余地がある。今回のイベントでは、「観戦する」に焦点を当て、体験のアップデートをめざす取組みが行われた。

スポーツを「観戦する」体験は、スタジアム内でも、スタジアム外でも課題がある。スタジアム内では臨場感を味わえる一方で、スポーツのルールや選手についての情報をタイムリーに得ることが難しい。試合を楽しむためには、予備知識が必要だ。スタジアム外ではテレビのテロップなどで情報が補足されるため、知識はカバーされるものの、臨場感には欠ける。

171208_P0A9014_fin

5Gをはじめ、ARやVRなどの技術を活用することで、こうしたスポーツ観戦における課題がクリアされる。5G時代が到来すると、大容量の情報を低遅延で伝送することが可能になり、スタジアム内外での観戦体験が変わっていく。

今回の実証実験は、未来のスポーツ観戦体験が変わると予感させてくれた。

スタジアムでの試合観戦を拡張するテクノロジー

171208_P0A9106_fin

試合会場の観客席の一角では、「ARライブ映像視聴システム」の実証実験が実施された。同システムを体験したい人は、専用のスマートグラスを装着する。

171208_P0A8912_fin

このスマートグラスを装着すると、実際の試合の様子に加えて、別の角度からの生中継映像も同時に見ることができる。さらに、チームや選手プロフィール、試合状況の解説などのテキスト情報も表示されるため、試合観戦時に得られる情報量が格段に増える。

171208_P0A9123_fin

スマートグラスに表示されるコンテンツを操作するのに、コントローラーは必要ない。操作には、CGオブジェクトを実際に物に触れるような感覚で操作できるドコモの「空間インターフェース技術」が用いられている。

そのため、手を目の前で動かすだけでコンテンツの位置を調整できる。この空間インターフェース技術を活用すれば、子どもでも直感的に操作できるだろう。

171208_P0A9036_fin

スマートグラスに表示された試合中の映像は遅延なく伝送されなければいけない。この実証実験を実現する上で、5Gの存在が欠かせなかった。5G時代になれば、伝送される映像がより高画質になり、スタジアムでの観戦体験はよりリッチなものになるだろう。

171208_P0A9190_fin

VRで離れた場所でも臨場感ある観戦が可能になる未来

171208_P0A9207_fin

スタジアム外での観戦はどう変わるのだろうか。イベント当日は、スタジアム外のブースでVRによるデモが行われており、チームの紹介映像を360°の視点で視聴できた。

5GとVRを組み合わせると、スタジアムの外でも、リアルタイムに試合の様子を疑似体験できたり、複数のカメラで撮影した試合の映像を自由にスイッチングして多視点で楽しめるようになるかもしれない。

近い将来、自宅で試合を観戦する際にVRデバイスを装着することで、まるで会場にいるかのような高臨場感を味わえるはずだ。

ライトなファン層のためにアプリで観戦支援

スマートフォンのアプリを使って、より近い未来に実現できそうな体験の拡張もある。

ラグビーはコアなファンに支えられているスポーツだ。スポーツを盛り上げていくためには、ライトなファン層にも観戦に来てもらい、リピーターになってもらう必要がある。今回の試合では、ライト層に試合を楽しんでもらうために、観戦支援アプリ「ラグビー先輩」が提供された。

同アプリは、試合の状況に応じて注目選手の情報やルール解説動画がリアルタイムに届き、ユーザーからの質問にチャットボットで回答する機能も備えていた。チャット画面で質問をすると、回答が得られる。

171208_P0A9133_fin

試合を理解するための情報が随時手元に届くため、ライト層であっても試合の流れをつかみやすい。試合のインターバル中には、クイズが出題されるなど、ユーザーが参加するための仕組みも用意されていた。

観戦支援アプリがあれば、手元にあるスマートフォンを通じてユーザーに必要な情報を届けられる。ライト層も試合を楽しみやすくなり、一度ダウンロードしてもらえれば次の試合の観戦を促すことも可能になるだろう。

ARやVR、チャットボットの技術など各技術が進化し、5Gにより大容量のデータがスムーズに伝送されるようになれば、スポーツ観戦の体験はアップデートされる。これまで以上に多くの人が、これまで以上にスポーツを楽しめる日は近い。

Photos : Tadayuki Uemura

Text:Junya Mori